2012年2月21日火曜日

東北シクロクロス最終戦


抜けぬなら担いで走れシクロクロス。
pinarancioさん撮影ありがとう

東北シクロクロスに行ってきました。AJOCC管轄のシクロクロス最終戦です。

会場は1ヶ月前の雪地獄で大惨敗の記憶も新しいスポーツランドSUGO。雪が降るかもしれないという天気予報を見てしまっても行くと決めたもんは行くしかない。今回も宮城に前日入りのゆったりスケジュールで、13時少し前に会場着。

13時からブリヂストン・アンカーの辻浦圭一さんと女子マスターズ世界チャンピオンの荻島美香さんによるシクロクロス教室が開催されるということで、前日でも人の集まりもよく、すでに試走する人もチラホラ。自分も着替えてシクロクロス教室に参加する。

「話しかけづらいかもしれませんが、せっかくの機会なので何でも聞いてください」という辻浦さんのつかみのひと言から和やかにリラックスした状態でシクロクロス教室がスタート。実際のコースを走りながら攻略法を探っていく。

雪解けにより濡れた土と、完全に乾いた土が交互にやってくる路面コンディションなので、タイヤにこんもり土がついてしまう。ジワジワと付着するのではなく、溶き卵に浸した肉をパン粉に入れるかのようにとても効率の良い泥の付着っぷり。

乾いた区間で泥がついて失速し、完全停止する前に担いでしまうほうがいいかもしれないという辻浦さんのアドバイス。泥が付着すれば重量は増えるし、タイヤとフレームの間に盛った泥は抵抗を増やし、体力を奪うばかりだ。

シクロクロスではスムーズな動作で自分の体力を効率良く使っていくかが重要。トップレーサーであっても、体力が無尽蔵にあるわけではないとのこと。ガムシャラにペダルをこいで、止まってから降りることを考えるようでは、いくら体力があっても足りない。

アドバイスを受けながらの試走1周が終了。時間があるので、みんなでもう1周。「泥だけど走れるぜー、1ヶ月前のSUGOでの自分とは違うんだぜー、勝っちゃうぜ、へへー」と調子に乗りつつ、アドバイスを思い出しながら、止まる前に降りようと思っていた区間に入った瞬間、エンドがボキリ!

オワタ。オレのシクロクロスシーズンオワタ。レース前にオワタ。心が折れる前にエンドが折れた。

折れたことのなかったエンドが折れた

泣きそうな自分の折れたエンドを観察する美形メガネ男子がひとり。「たぶん、このエンドはBOMAと同じですね、エンドの形状はそんなにいろいろと種類があるわけじゃないんですよ」と美形メガネ男子。あまり乗っている人も多くないグエルチョッティーじゃ、エンドひとつ買うにも一苦労だなーなんてことはないみたい。

この美形メガネ男子はマニアの人なのかなと思ったら、仙台市泉区にある自転車ショップ「ベルエキップ」の横ちゃんである(後で知る)。お店に電話で確認してくれて、在庫ありとのこと。付着した泥を洗い流して、ベルエキップへ。

大きな店内に余裕の展示。量販店っぽさはなく、フレンドリーな店員さんたち。入店後、一瞬にしてイイお店であると感じる。

さっそくエンドの修理をしてもらう。エンドが折れたときにリアディレーラーをホイールが巻き込んでしまっているので、ホイールにもゆがみがあるとのこと。超的確な診断にプロの技術をみた。このかた、ヨーロッパの自転車チームの元メカニックでビッグレースをいくつも経験している優秀なメカニックの遠藤さんであった。エンドをエンドさんに修理してもらったわけですな。ありがとうございました!

レース前の話はもういいか。牛たんを食って楽しい夜を過ごして、はい、次の日の朝~。レースは9時からスタート。昨日までドロドロだった路面は凍結。前日試走の意味はほとんどナシだ。泥で失ったエンドの立場は?

今日も最後尾スタート。出場者は22人。凍結しているので先頭ほど有利なレースになるだろう。でも人数は少ない。勝つのだ。勝ちに来たのだ。ワンピースに気合いの生脚で、辻浦さんにも「寒いでしょ」と言われるが、走り出したら寒くないんだから!

スタートの列に並び、後ろから「あい!あい!」と声を出し前方を威嚇。生脚でおかしくなっている人という扱いなので笑いがおきる。そんなこんなで、はい、スタート。いつものように最後尾なので落ち着いてペダルをキャッチ。

予想通り、前がつまる。先頭ははるか彼方へ。これもいつものパターン。とにかくスタート位置最後尾が不利に働く。今日のコースコンディションならシケインを除き、乗車率は100%も可能。ただ、凍った路面で限られた走れる部分をトレースしていては、いつまでも後方待機になってしまう。

ならばもう降りちゃえ、走っちゃえ、担いじゃえ。

凍った路面でザクザクと鳴る足。乗るより担いだほうが速い。10位くらいまでランであがる。前を見てつまっていないことを確認して乗車し、先頭を追う。先頭に行けば行くほど乗車率は高いし、乗って速いからランでは離されるばかりだ。

グイグイと踏んで差を縮める。ギャラリーの声もまだまだイケルよという調子。これが励みになる。ただ、はじめのランで消耗してはいて、バイクコントロールが危ういのを感じていた。前へ倒れこむ疲れた身体を意識的に後ろへ。滑らないようにしなくては。

男は生脚。Kasukabe Visionさん撮影

そして、1周目終了直後にツルリ。露出したスネに凍った路面が牙をむく。アドレナリンが出ているとは言っても痛いレベル。起き上がろうとしているうちに、さっき余裕で抜いた2人にゆっくりとパスされてしまう。

焦りつつ乗車。疲れていても攻めるしかない。周回を重ね、疲労は限界に近づいていく。さらにコントロールができなくなり3度落車。こんなにもカンタンに滑るのかというくらい滑る。滑るたびにスネには傷。そして、最終周回へ。ギャラリーの声は、勝てなくても最後まで全力でという雰囲気に変わっていた。

そのままレース終了。結果は6位。

シクロクロスをはじめて、12戦(今年だけで10戦)に参加した。とんでもないコンディションのレースや最後尾スタートも多く経験し、スキルは確実にアップしていると感じている。半年後の次のシーズンまでに体力と脚力をもう2段階レベルアップし、絶対勝つ気持ちで挑みたい。

で、春夏はMTBに挑戦します! テクニックはこっちで磨くのだー、ガハハ。

※東北クロスは玉こんにゃく美味いし、招待選手との距離は近いし、楽しいよ。運営に尽力されている方々、いつもありがとうございます。