2014年3月4日火曜日

懺悔しなくてはいけません。「関東クロス第2戦 秩父」

枯れ葉のレース。写真:Do

ひとつ、懺悔する必要がありました。このブログに結果を残していないレースがあります。「関東クロス第2戦 秩父」でのことです。

カテゴリ2残留のためのチケットを手に入れるためにマウンテンバイクで出場しました。

大事なことなので、繰り返し書きますが「シクロクロスのレースにマウンテンバイクで出場」しました。

この秩父のコースレイアウトは、マウンテンバイクが圧倒的に有利なものだと過去の出場経験者から聞いていました。

マウンテンバイクでの出場は、カテゴリ2のレギュレーションからは逸脱してはいません。

しかし、マウンテンバイク有利という甘い誘惑に誘われ、顔を知る多くのシクロクロッサーの中でマウンテンバイクにまたがることになるとは。残留、否、カテゴリ2への昇格の価値がどれだけのものだというのでしょうか。

そんな私のマウンテンバイクを指さされ、顔面の前にまでも指を突き出され「いいのか、それで!」と罵倒されても黙秘を貫き、凍てつく冬の秩父の地にときおり射し込んでくる太陽の光だけを友にスタートの合図だけを黙々と待っていたわけです。

いいのか、それで。いいのか、それで。自問します。これは残留のためのレースです。もはやシクロクロスではなくなっていました。

マウンテンバイクにまたがり、シクロクロッサー失格の烙印を自らに押したのです。

スタートの号砲が秩父の山に轟き、その音に多くのシクロクロッサーが心拍をあげ、それに呼応するように鳥たちの影がざわめくのを感じました。

最前列から先頭で入った第一コーナーで曲がれません。

泥沼化した急な斜面では自転車から降りなくてはなりません。重いマウンテンバイクが体力を削ります。慣れないマウンテンバイクがレースを過酷なものにします。

先頭だった私は、つぎつぎと順位を落としていきます。レースが終わり嗚咽。苦しさに耐え、流れ出たよだれが顔面の体毛に絡みます。マウンテンバイク有利とは何だったのか。

苦しくて首が傾く。いいのか、それで。写真:Do

マウンテンバイク有利なコースでマウンテンバイクで出場し、残留チケットを手にすることすらできませんでした。慣れないことをするものではありません。

シクロクロスで出場するほうが速かったのではないかと。

それを後悔した瞬間、自らに押したシクロクロッサー失格の烙印が、淡く消えていくのを感じていました。

2014年2月25日火曜日

C2残留やれんのか。崖っぷち3連戦の最終戦「茨城シクロクロス」

写真:タンネさん
残留をかけての崖っぷち3連戦の最終戦「茨城シクロクロス第2戦」に出場してきた。このレースで66%以上の順位に結果を残せば、カテゴリ2残留。ダメなら降格でシーズン終了。

カテゴリ2は約12時スタートとはいえ、早朝に到着してものんびりという感じでもなく、ウォーミングアップのためのウォーミングアップを含めたウォーミングをしたいこと、アップ後に決戦用ジャージに着替えることを考えると、10時くらいから動きはじめなくてはならない。

この時間にスタートするほかのカテゴリを観戦できないのが残念だけど、狙ったレースではまず自分を中心に考え、集中力を高めていくことにした。自分がまずは楽しむ。それでいいんだ。

アウトドア・アイテムに囲まれたTeamTAMAGAWAの清水さんが、お汁粉を食べているのを横目に「え、スタート前にお汁粉?」とひとこと牽制し、ウォーミングアップの準備をする。

小貝川河川敷の寒空の下、汗だくになるまでローラーをまわす。「いまのキツイは、レースでのラクをつくる」と信じ負荷をかける。

滴る汗をふき、ポカリスエットと水で水分補給、VESPAと梅丹本舗のカフェインプラスで合法ドーピング。この組み合わせも今日で3戦目。効くか効かないか、結果は出たが体感はない。

着替えたジャージのゼッケンは16番。スタートは前から2列目で悪くない。いつも上位でゴールするTeamTAMAGAWAのふたりを残留基準にし、離れないように意識する。

Facebookでは「全力アシストします」と言っていたTAMAGAWAの金子さんが、スタートラインでマイクを向けられ「表彰台狙ってます」と答えた。全力アシストはどこ行った? いいのか、それで。

出走者は33人、21番目ぐらいまでが残留基準。スタートで少し前に出てあとは耐えしのぐ、ここ2戦のやり方を踏襲できるか。

スタート!  可も不可もないスタートダッシュと安全第一の自転車さばきで、計画通りに少し前にでる。

しばらく7番目くらいで進むが、カーブのたびに前につまってしまい必要以上にブレーキングさせられる。

ほぼベストな空気圧で使ったときのIRCのチューブレスタイヤ「シラクCX(SERAC CX)」の旋回性能の高さにニヤリ。

これまで黙ってはいたけど、カーブが誰よりも下手だと自覚していた。とにかく曲がらず、外にふくらんでいた。

写真:MakotoAYANOさん
後続に追いつかれることに怯えながらも、ふくらまないようにスピードを落とした。加減速のギャップは体力を奪いとる。だからとにかくそれを補う体力をつけなくてはいけないと思っていた。

「プロなんかはねー、空気圧1.3や1.5くらいまで落とすんですよ」とかいうタイヤベコベコ至上主義に騙されていた。

この風潮には「騙されていた」とここでハッキリ言い切りたい。それぞれのタイヤのそれぞれのセッティングを見つけることが重要。

崖っぷちの3連戦の中に、覚醒をみた。眠っていた力の開花を自分のなかに感じていた。

しかし現実問題、前がつまると無駄に体力を消耗してしまうので、その結果直線で離される。

「いま10位くらい!」
「いま12位!」「いま15位!」

写真:春日部写真店
抜かれる、抜かれる。あきらかに脚力の差があり、背後につくことも許されないスピード差でブチ抜かれる。

スピード差をつけてブチ抜き、相手の心を折る作戦も含まれているにしてもライバルたちは速い。

残り1周の表示。高密度に順序がひしめき合うカテゴリ2では、たったひとつの転倒が命とりとなる。まだまだ安心できない。耐えるところは耐え、絶対に転倒してはいけない。

写真:タンネさん
耐えて耐えて、耐える。とくに直線を耐える。耐えてつらくても脳は明晰に予定通りの場所にタイヤを向かわせ、予定通りにコースをトレースする。

ラスト1周、今シーズンのすべてのベストを集約する。さぁ吐くまで踏めるか!

結果、14位でゴール。ゴール後「おめでとう」と言ってくれるライバルたちと握手する。昇格までもう少しだった3位の選手まで「おめでとう」と祝福してくれる。なんという心のひろさだ。これが強いものの優しさだ。

拾ってしまった子猫の飼育と犬のペコの世話に、残業増で練習ができなかったことに加え、出場したレース中のトラブルも多く3回もDNFと今シーズンはホントに厳しかった。

そしてIRCタイヤ。このタイヤにかえてからの崖っぷち3連戦、乾いたスピードコースの湘南、進まない泥の桂川、そして今回の茨城を転倒ゼロで、連続の残留基準クリア。

これまで、チューブラー使用でベストのセッティングを出せずにいたという気づきを与えてくれたIRCのシラクCX。タイヤにどこまで求めるかにもよるんだろうけど、必要十分の性能だと思う。

来シーズンは何を使おうかと、思い巡らす機材スポーツの楽しさはベストなセッティングを知ることで加速する。ベストな空気圧を見つけた高価なチューブラーで、空気を切り裂くディープリムのホイールだったらどうなんだろうか。シラクCXで十分とは言ったものの、それもまた気になるねというのが正直な今の気持ち。

ついにコーナーワークという大きな伸び代をほぼ失った。来シーズンこそ、勝負の年だ。

ピットに入ってくれたTeamCUOREのみなさん、会場で工具を貸してくれたスネルの諏訪さん、応援してくれる人たち、レースでやりあえたライバルたちに感謝します。金子さんの全力アシストにも感謝します(¬_¬)